平成21年度 富士総合火力演習(予行演習) 前段演習編
今年もやって参りました、富士総合火力演習。
静岡県御殿場市、裾野市、小山町にまたがる東富士演習場で開催される富士総合火力演習は「総火演(そうかえん)」の略称で知られる陸上自衛隊による国内最大規模の実弾射撃演習。
昨日27日(木)には30日(日)に開催される一般公開に向けた予行演習が行われました。
富士総合火力演習は例年6月下旬から7月中旬に掛けての期間、陸上自衛隊のサイトでその開催が告知されます。一般公開は抽選による観覧となっており、毎年人気が高く、平均倍率で約28倍、一般券駐車券付きともなると、最高倍率209.5倍の狭き門となっています。
ド肝を抜く迫力と規模を演出するに当たって、この日の予行演習では2,400名の自衛隊員、戦闘車両が約80両、重火砲 約40門、戦闘ヘリコプターを始めとした航空機 約25機が投入されました。数億円相当とも言われる弾薬を消費する圧倒的なパフォーマンスが繰り広げられます。
予行演習当日は、富士山の姿もはっきりと見える程の快晴。全国各地から駆けつけた観覧者で会場は一般公開程ではないものの、多くの人で埋め尽くされました。
陸上自衛隊が保有する主要装備品の紹介として1時間の前段演習が開始。
準備から開始までの時間が事前に配布されているプログラム通りピッタリ開始される点はサスガ自衛隊。
トップバッターでの登場は航空自衛隊の2機のF-2支援戦闘機。広大な演習場とは言え、最大速度:M2.0のF-2支援戦闘機にとってはミクロな世界。F-2が飛翔するその勇姿を確認できるのはホンの一瞬の出来事に過ぎません。演習場内を通過後、数秒した暫く後に、通過する際に発生した爆音が届く当たりはさすがの迫力。場内の観客からも大きな歓声が上がっていました。
輸送ヘリコプター CH-47 チヌークよりロープ降下を行った分隊員が橋梁爆破を行います。低空でホバリングするCH-47 チヌークから素早くロープ降下する様子は、まさに日頃の鍛錬の賜物。会場からの大喝采を受けていました。
隊員が降下するのを確認後、CH-47 チヌークは現場を素早く離脱します。
黒煙が吹き上がる中、橋梁爆破を行った隊員達を、上空を旋回したCH-47 チヌークが再びピックアップに向かいます。
橋梁爆破後、現場を離脱した隊員は赤枠内の辺りでチヌークの到着を待っています。
Extraction Rope(エクストラクションロープ)を使って隊員を吊り下げたまま、周囲を警戒しながら離脱する技術を披露。
吊り下げられた隊員らは、その状態でも個々が持つ小銃が他の隊員に向かないよう、360度全域の警戒が行える状態で吊り下げられている様子が分かります。
後部が油圧式で開閉可能となっている96式装輪装甲車より、搭乗していた隊員が迅速に展開を図ります。この後、下車した小銃小隊の隊員らが89式小銃と06式小銃擲弾による実射を行います。06式小銃擲弾は発射後、約10秒後に着弾し、ターゲットとして用意されていた風船が割れます。
車重50tの巨体、90式戦車小隊が地響きと共に隊列を成して会場左側から進入。前段演習のヤマ場とあって、場内に流れるアナウンスと共に会場は興奮の絶頂となります。
号令と共に、90式戦車の主砲となる120mm 滑腔砲が一斉に轟音の中で文字通り火を噴きます。
発射の瞬間、広大な富士の裾野に広がる会場一体の空気が衝撃波と共に肌を突き刺すような感覚を受け、映像とは違った体験に感動すら覚えることでしょう。
中央即応集団(CRF:Central Readiness Force)隷下の第1空挺団所属 空挺隊員による高度2,000mからのパラシュート降下。”スパイラル”という降下技術によって高度を急激に落とすと同時に、周辺で落下中の他の隊員との距離を適正に取るといった、全国各地の演習場で培われた日頃の鍛錬の成果の披露に会場からも多くの拍手と喝采を浴びていました。
以上、8月27日(木)に行われた前段演習の模様をダイジェストでお届けしました。
後段演習の模様は準備が整い次第にお届けいたします。
なお、今回の平成21年度 富士総合火力演習(予行演習)の模様はフルハイビジョンムービーにより録画を行っております。
後ほどこちらについても抜粋の上で配信を予定しています。迫力の映像をご期待下さい。
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